2024年6月21日金曜日

【土曜日勉強会】ニプロ CE サーモ

 今日の勉強会はニプロ CE サーモに関するもので、業者による説明がありました。

 鼓膜による体温測定は、いろいろとメリットはあるとは思いますが、中枢温と高い相関があること、侵襲が小さいこと、麻酔導入前から使用できることなどが大きいようです。

 個人的には側臥位でたまに挿入に苦労することがあるのですが、ツマミの線を上下に合わせ、回転させながら挿入するのがコツのようです。

 今度、やってみようと思います。

2024年6月19日水曜日

演題締め切り延長に思うこと

 臨床麻酔学会から、演題登録締め切り期間延長のお知らせがありました。
 十分な数の演題数が集まっていないものと推測します。
 どこの施設も忙しくて、研究どころではないのかもしれません。

 そんな中、今年は臨床麻酔学会に演題を登録することができました。
 外勤先の先生方の強力なバックアップがあってこそで、本当にありがたい限りです。

 わが国の研究力が低下していると言われるようになってから、すでに長い月日が経っているように思います。
 今年は日本麻酔科学会学術集会でも、研究を少しでも盛んにさせようと、さまざまなレクチャーが行われていました。

 研究を取り巻く状況は、しだいに厳しくなっています。
 一言で言えば、「ゆとりがない」ということになるでしょうか。

 この状況で、研究を盛んにさせようとするのは容易なことではありません。 
 個人的には昔の「救命救急士が声門上器具の挿入ができるようになった」とか、「臨床研修制度が整った」といったレベルの、国を挙げての抜本的な改革が必要なんじゃないかと考えています。

2024年6月15日土曜日

【土曜日勉強会】肝移植と循環モニタリング

 恒例の土曜日勉強会は、慶應大学の山田教授をお招きしての講演会で、「肝移植と循環モニタリング」 についてお話しいただきました。

 血がなくなっただけでは肝臓は変化せず、むしろ再灌流によって変化が起こること、虚血耐性の獲得とプレコンディショニング、AST/ALT は高くてもその後の経過には関係なく、それは単に壊れた肝臓の残骸を見ているだけ、体循環を整えるのが重要であることなど、たいへん勉強になりました。

 パルスオキシメータと心電図から心拍出量をモニタリングするというのは、私には初耳でした。
 心電図上のR波の頂点からパルスオキシメータ上の脈波の立ち上がりの時間を脈波伝播時間 (pulse wave transit time (PWTT)) とすると、PWTT は一回拍出量に逆相関するのだそうです。

 低侵襲で心拍出量をモニタリングできるといいですね。
 とても役に立つ、わかりやすい講演をありがとうございました。

2024年6月7日金曜日

日本麻酔科学会第71回学術集会第2日

 ひょっとして術前外来の運営に役に立つかな・・・と思い、2日目の午前中は術前評価のシンポジウムに参加しました。

 予想通りですが、循環器系の術前評価はガイドラインを意識しているからか、かなり複雑なものでした。
 かえすがえすも、当院では循環器内科が前向きに術前評価に関わってくれるので、本当にありがたい限りです。
 こんなことを自分たちでやろうとすると、それだけで時間が足りなくなってしまいます。

 午後の自分の講演と関連しているため、腎臓の術前評価が一番気になりました。
 シンポジストの K 大学の M 先生のトークはゆっくりめでしたが、それだけにとても理解しやすかったです。
 少しでもたくさんの情報を詰め込もうとすると早口になりがちですが、情報量を多少犠牲にしてでもわかりやすさを優先した方が、結局はいいのかもしれません。
 術前評価は eGFR を最重要視しがちですが、尿たんぱくなども重要だということがとてもよくわかりました。

 午後の自分の専門医講習のために、ここ数年の中ではかなり準備に力を注いだ方でしたが、本番はかみまくりで全くお恥ずかしい限りです。
 医科歯科時代に指導をいただいた M 教授流に言えば、まだまだ修行が足りないということなのだと思います。

2024年6月6日木曜日

日本麻酔科学会第71回学術集会第1日

 午前中は神経モニタリングのシンポジウムに参加しました。

 ふだん、自分は小児の神経モニタリングに関わることはないのですが、麻酔深度のモニタリングのみならず、静脈麻酔薬の薬物動態に関する情報が不十分なことから、乳児の神経モニタリングがとても大変だということがよくわかりました。

 午後は優秀演題のセッションに、共同演者として参加しました。
 どの演題も研究のネタの着眼点が鋭いことに感心しました。

 最後の演題の、通常の駆血とは違う形で上肢を圧迫することで静脈の径を増大させるというのは、臨床に直結しこれからの発展を予感させる、とてもすばらしい研究だと思いました。

 アナフィラキシーのシンポジウムは観衆の数が多く、椅子が足りない状態でしたが、係員に誘導され前の方で座ることができました。

 座長も演者もアツい人が多く、すごく熱のこもったシンポジウムでした。
 自分としては、局麻のアナフィラキシーがきわめてまれだということがわかり、とても有意義でした。


2024年5月31日金曜日

【土曜日勉強会】抄読会 --- いわゆる「ちゃんぽん麻酔」による制吐効果

 今日は第一土曜日なので、抄読会が行われました。 

The effects of virtual reality neuroscience-based therapy on clinical and neuroimaging outcomes in patients with chronic back pain: a randomized clinical trial
Pain 2024 担当:Y 先生

慢性腰痛に対する virtual reality neuroscience therapy (VRNT) が有効だという報告でした。
その一方で、THA 術後には無効だったという報告もあるそうで、最近のホットな議論の的のようです。
また、VRNTは急性痛よりも慢性痛で有効なようです。
どうも、痛み以外に気持ちを向ける (distraction) というのが、この治療法に関連するキーワードみたいですね。
--------------------------------------------------------------

Effect of propofol infusion on need for rescue antiemetics in postanesthesia care unit after volatile anesthesia: a retrospective cohort study
Anesth Analg. 2024 担当:T 先生 

手術中のプロボフォール持続併用投与により、PACU でのレスキューの制吐薬の必要性が低下することを示した研究です。
術中のプロポフォール投与量は PACU におけるレスキュー制吐薬の必要性と関係していましたが、100 ug/kg/minを超えるとそれ以上の効果はなかったということです。
副次的評価項目の一つとしての回復時間には、影響はありませんでした。
100 ug/kg/min は 6 mg/kg/hr に相当するので、H教授からは、この用量と効果との関係は、術中の揮発性麻酔薬との減少効果と関係があるのではないかとのコメントがありました。
--------------------------------------------------------------

 2番目の論文で思い出されるのは、留学中に出会ったカナダの麻酔科医で、呼吸器外科の麻酔中にデスフルランと同時に少量のプロポフォールを持続投与していました。
 なぜ両方投与するのかと尋ねるとプロポフォールによる制吐効果を得るためとのことでしたが、その麻酔科医の評判は決して芳しいものではなく、同僚たちからは「あんなのが効くわけない」と陰口をたたかれていました。 

 しかしあれから 10 年以上のの月日を経て、いわゆる「ちゃんぽん麻酔」の効用が堂々と A&A に掲載されています。
 片肺換気中の dependent lung への PEEP や吸入麻酔(vs. TIVA)の議論もそうですが、いつどのように評価が覆るかわかったものではありません。
 逆に、だからこそ学問はおもしろいものなのだと言えるのかもしれませんが、恐ろしいものでもあるように感じます。

2024年5月21日火曜日

【文献】屈曲の強い気管で注意すること

 高齢女性の cadaver を用いて、屈曲の強い気管における気道管理について検討した論文 (Inoue T, et al. Cureus 2024; 16: e55546) を読みました。

 この研究では cadaver から気管を切離して気管チューブを通しており、その結果、先端が気管壁に当たってしまい、挿管中の人工呼吸が困難になることが示唆されたということでした。

 ここまでなら臨床でもしばしば見かけることなのですし、そうならないように麻酔前の評価が重要だと思うのですが、この症例ではさらに腕頭動脈が気管の前を横切っており、気管切開の際には大量出血のリスクがあるということでした。

 結論として、麻酔の前には気管と頸動脈の解剖をチェックすべしと述べられていました。

 麻酔前にルーチンで頸動脈の走行までチェックするということはしないと思うのですが、少なくとも気管の走行が異常な場合には、血管系のチェックも合わせて行うことが必要なのかもしれないと考えさせられました。


日本麻酔科学会 第73回学術総会 第2日

 朝、学会場で知らない人に突然話しかけられ、昨日、私が座長を務めていたセッションがよかった、などとお褒めの言葉をいただきました。  特に座長とコメンテーターの二人体制がよかったとのことです。  こんな感じで褒められたのは初めてのことだったので、戸惑いました。  もっとも、二人体制...