高齢女性の cadaver を用いて、屈曲の強い気管における気道管理について検討した論文 (Inoue T, et al. Cureus 2024; 16: e55546) を読みました。
この研究では cadaver から気管を切離して気管チューブを通しており、その結果、先端が気管壁に当たってしまい、挿管中の人工呼吸が困難になることが示唆されたということでした。
ここまでなら臨床でもしばしば見かけることなのですし、そうならないように麻酔前の評価が重要だと思うのですが、この症例ではさらに腕頭動脈が気管の前を横切っており、気管切開の際には大量出血のリスクがあるということでした。
結論として、麻酔の前には気管と頸動脈の解剖をチェックすべしと述べられていました。
麻酔前にルーチンで頸動脈の走行までチェックするということはしないと思うのですが、少なくとも気管の走行が異常な場合には、血管系のチェックも合わせて行うことが必要なのかもしれないと考えさせられました。