先日、片肺換気における保護的換気に関する総説 を読んだことについて書きました。
高二酸化炭素症の容認については手術患者よりも ARDS 患者の方が本場のようで、今日は ARDS 患者における高二酸化炭素症が転帰に与える影響に関する論文 (Rasheed S, et al. J Crit Care Med (Targu Mures) 2025; 11: 44-53) を読みました。
結論としては、さまざまな因子で調整すると、ARDS 患者における高二酸化炭素症は死亡率を高めることはないということです。
この論文では PaCO2 > 50mmHg を重篤な高二酸化炭素症と定めているのですが、人工気胸使用下の片肺換気中にこの程度の高二酸化炭素症に陥ることは決してまれではありません。
人工気胸を用いる胸部手術が多数行われている今日、どこまで高二酸化炭素症を容認できるのかはきわめて重要な課題です。
保護的片肺換気と絡めて、手術中の人工呼吸に関する診療指針がほしいところです。