Thoracic anesthesia における保護的換気に関する総説 (Canbaz M, et al. J Clin Med 2025; 14: 1674) を読みました。
最初の感想は、「引用するのに便利な総説」だということです。
いわゆる conventional な人工呼吸と比較した現代の保護的換気について構成要素別に解説がされており、さらに メカニカルパワーや第5のトラウマである "ergotrauma" にといった最近の話題についても触れられています。
残念だったのは、permissive hypercapnia について何ら述べられていなかったことです。
Thoracic anesthesia ならではの保護的換気の問題として、片肺換気であるがゆえにどうしても高二酸化炭素症を容認せざるを得ず、しかもしばしば容認できない範囲まで高二酸化炭素症が進行してしまうことが挙げられます。
特に人工気胸を用いる MIE ではそれが顕著であり、Thoracic anesthesia における保護的換気に関する総説であれば、そこに踏み込まないわけにはいかないはずなのではないかと感じました。