急性呼吸不全で機械換気下にある患者における PEEP が腎機能障害に与える影響について書かれた総説 (Benites MH, et al. Crit Care 2025; 29: 130) を読みました。
話の流れとしては、高い PEEP は腎臓にさまざまな機序で障害を起こしうるということを述べた上で、適正な PEEP レベルを模索することの重要性を強調するものとなっていました。
タイトルに "Ventilation-induced acute kidney injury" とあり、これは私には耳慣れない言葉なのですが、何を言いたいかが直感的にわかるという意味で、とてもキャッチーなタイトルだと思いました。
手術中の人工呼吸で PEEP を換気メカニクスなどを指標として個別化しようとすると、通常の麻酔管理で行うよりもかなり高くなる場合があり(「極端に高い PEEP」)、それが現代の呼吸管理の流れなのかと理解していたのですが、どうもこの総説からは集中治療領域においては高い PEEP に対して見直す感覚があるように感じました。
人工呼吸の個別化をテーマにした研究では効果の指標を肺合併症の頻度や換気メカニクス、動脈血液ガスなどに置きがちですが、腎臓を含め潜在的に影響を受ける臓器の機能なども考慮に入れた評価も必要であるように感じられました。