PEEP を一律にかけるのではなく、患者さんによって最適なものを提供するという考え方が、集中治療領域だけでなく手術室での人工呼吸でも広がりつつあるようです。
個別化の方法は何通りもあるのですが、多くの研究では個別化した PEEP が一律のもの(多くは低めの値)よりも優るという結果が示されています。
ところが、今朝読んだ Boesing らの論文 (J Crit Care [Online ahead of print] (PMID: 37690365)) は違いました。
この研究では VV-ECMO 下に超保護的人工呼吸を受けている患者を対象に、個別化した PEEP と固定値での PEEP を比較しているのですが、固定値群で mechanical power が低く、血行動態や酸素供給が優れていたということです。
個別化がつねにいいというわけではない点が、とても目新しく感じられました。
ただ、VV-ECMO での管理下にある ARDS 患者さんにおいて、肺を完全に休ませるという選択肢もある中で、個別化した PEEP を用いる意味がどれほどあるかということを考慮すると、ひょっとしたら研究の意義自体に疑問の余地があるのかもしれません。