新しい換気モード (flow-controlled ventilation: FCV) に関する論文 (Spraider P, et al. J Clin Anesth 2023; 91: 111279) を読みました。
FCV は吸気および呼気におけるフローをコントロールすることで、肺組織への機械的な影響を最小限にするというものです。
人工心肺下に行われる心臓手術を受けた患者をランダムに 2 群に分け、一方は FCV、他方は PCV で人工呼吸管理を行ったところ、PCV 群にくらべて FCV 群では酸素化が優れており、normocapnia に維持する上で分時換気量が低く、肺の非含気領域が小さかったということでした。
この論文で最も印象的だったのは、介入群も対照群もどちらも人工呼吸の設定が個別化 (individualized) されていたことです。
個別化した PEEP レベルを固定値(例えば 5 cmH2O)と比較するなどというパターンはよくあるわけですが、どちらも個別化されているというのは初めてでした。
FCV は臨床ではまだあまり用いられていないようですので、これから片肺換気や肥満患者、ヘッドダウンでの腹腔鏡手術などでの有用性の評価が待たれるように感じます。