2024年11月23日土曜日

日本臨床麻酔学会第44回大会第3日

 ムンディファーマ株式会社のランチョンセミナーに参加しました。

 THRIVE が上気道を開通させ、麻酔導入時の酸素化を改善することは疑問の余地はなさそうです。
 聴衆の質問は有用性というよりは、費用対効果の問題や、どの患者を対象にするかといったことに集中していたようでした。
 端的に言えば、「高いお金を出してまで買う必要があるのか」ということなのかもしれません。

 夕方から、昔所属していた医局の集まりがありました。
 医局を離れても声をかけてもらえるというのは、本当にありがたいことです。
 楽しいひと時を過ごすことができました。 

2024年11月22日金曜日

日本臨床麻酔学会第44回大会第2日

 術中低血圧予測のシンポジウムに参加しました。

 HPI については低血圧予測という意味ではその有用性は確立しているようですが、そもそもどの患者で低血圧予測が必要なのかといった HPI の前段階の話がとてもおもしろく感じられました。
 低リスク患者、低侵襲手術、小児では低血圧の影響を認めないといったような内容だったと思います。

 循環制御用ロボット麻酔システムでは、平均血圧 65 未満でフェニレフリンの投与速度と輸液スピードが上がるということでした。
 平均血圧 65 を閾値とする考え方が、すっかり根付いたように感じられました。

 周術期不整脈に関する専門医講習は、聴衆にシンプルな理解を求めている点がよかったように思います。
 不整脈治療を専門にでもしない限り、とうてい全ての不整脈や抗不整脈薬を網羅できるはずがありません。
 頻脈を wide QRS と narrow QRS に分け、wide QRS 頻脈が生じたら WPW などがないかどうかをチェックするという考え方は、とてもわかりやすかったように思います。

2024年11月21日木曜日

日本臨床麻酔学会第44回大会第1日

 日本臨床麻酔学会第44回大会が新宿の京王プラザホテルで行われ、今日は一般演題の発表があったので出かけてきました。

 午前中は麻酔科領域講習に参加しました。
 痛みの程度、必要な不動の程度、所要時間を三次元のそれぞれの軸に見立て、患児に必要な鎮静の性質を考えるというやり方はとても参考になりました。
 前日に患児に夜更かしさせ、当日は早起きさせるといった工夫がまじめに学問として議論されているといったあたりに、小児の鎮静の大変さがうかがわれるようでした。

 午後の優秀演題候補セッションは発表もディスカッションも時間が短く、議論の深まりが今一つのような印象がありました。
 たくさんの演題をさばこうとすると、こういう形式にならざるをえないのかもしれません。
 個人的には演題数をしぼり、10分ぐらいのプレゼンに10分ぐらいの突っ込んだ質疑応答があってもいいのではないかと感じました。

2024年11月2日土曜日

【土曜日勉強会】抄読会 --- 小児の鎮痛

 今日は第1週の土曜日なので、恒例の抄読会が行われました。
 今回は2つとも、小児患者の鎮痛に関するものでした。

K 邉先生
Effectiveness of the Bilateral and Bilevel Erector Spinae Plane Block (ESPB) in Pediatric Idiopathic Scoliosis Surgery: A Randomized, Double-Blinded, Controlled Trial
J Pediatr Orthop Volume 44, Number 7, August 2024 

小児特発性側弯症における、両側2椎間の起立筋平面ブロックの効果性について調べた研究。
ESPは術後の痛みを低減し、術中のレミフェンタニル消費量や術後のモルヒネ消費量を減らし、しかもPONVの頻度を低下させた。
小児での同様のランダム化研究は、これまでにはなかったということでした。

K 野先生
Comparison of postoperative pain in children after maintenance anaesthesia with propofol or sevoflurane: a systematic review and meta-analysis
British Journal of Anaesthesia, 133 (1): 93e102 (2024)

小児における術後痛をプロポフォールとセボフルランの間で比較したメタ解析。
13件のRCTを含んだ。
セボで全体的な術後疼痛のオッズが高かった。
レスキュー鎮痛薬の必要性についても同様。
プロポフォールにはオピオイド節減効果がある。
プロポフォールに抗炎症作用がある。炎症性サイトカインを抑制する。
セボは痛覚過敏を引き起こす可能性が示唆されている

【文献】HPI と平均血圧との比較

 低血圧のアラートとして、HPI と平均血圧 70-75 mmHg を比較した研究 (Rellum SR, et al.  Eur J Anaesthesiol [Online ahead of print] (PMID: 40012367)) を読みました。  A-line 上...