2023年10月5日木曜日

非侵襲的な輸液反応性の予測(その2)

 先週の金曜日にも書きましたが、A-line を入れずにエコーを使って動脈の血流を描出し、非侵襲的に輸液反応性を予測する試みが流行っているようです。

 今日読んだ Roy らの研究 (Cureus 2023; 15: e42083) では、頚動脈血流の収縮期ピーク速度の呼吸性変動の性質について調べており、これが PPV や SVV のように輸液負荷後に減少すること、左室流出路の VTI の変化率との間に有意な相関があることが示されていました。

 残念なのは、この研究がショック患者を対象としており、全ての患者で輸液反応性があることを前提として進められていたことです。

 A-line を用いた輸液反応性の予測と同様に、輸液反応性がある患者とない患者との間で指標(頸動脈の収縮期ピーク速度の呼吸性変動)に差があるのか、両者を識別する適切な閾値が得られるのか、グレーゾーンはどの程度の範囲なのか、といった素朴な疑問に答えられるようなデザインで研究が行われることを期待します。

日本麻酔科学会第72回学術集会第2日

 昨日とは違い、今日は発表のプレッシャーがなく、のんびりと学会を楽しむことができました。  早朝は麻酔薬の作用機序に関するリフレッシャーコース、その後は敗血症に関するシンポジウムに参加しました。  午後は働き方改革に関する講演を聞きました。  現場の麻酔科医ではなく、管理者(院長...