2025年3月16日日曜日

【文献】HPI 研究の新たな展開

 術中低血圧を予測する HPI 関連の論文 (Rippolles-Melchor J, et al. Anesthesiology 2025; 142: 639-54)、正確にはアブストラクトのみですが、を読みました。

 HPI 関連 の論文はたくさんありますが、他の研究とは異なりこの研究では術後7日以内の中等度から重度の AKI が主要評価項目となっていました。

 昨年の学会でも、HPI が術中低血圧を低減させることはすでに確立しており、臓器障害を減らすかどうかが今後の課題だというような話になっていました。

 手術中の低血圧に関する指標は、もはや主要評価項目にはなりえないのかもしれません。
 研究が新たな段階に入っているように感じられました。 

2025年3月7日金曜日

【文献】呼気時の気道閉塞

 全身麻酔からの覚醒時に excessive dynamic airway collapse (EDAC) が生じ、高度低酸素症に陥った症例報告 (Lyu J, et al. J Int Med Res 2025; 53: 3000605241307865) を読みました。

 EDAC では気管後壁(膜様部)が前方(気管の内側)へ突出しますが、気管軟骨の脆弱性が関与しない点で気管軟化症とは異なるようです。

 この症例では術前に何ら呼吸症状はなく、CT でも異常は見られなかったということです。

 声門上器具での麻酔管理中に気道内圧が上昇したら、通常は喉頭痙攣が疑われるわけですが、こういうレアなケースがありうるわけで、やはり困ったら気管支鏡検査というのがひとつの原則なのかなと考えさせられました。 

2025年3月2日日曜日

梅を見に行ってきました

昭和の森公園 (2/24)
 先週の昭和の森公園に続き、今週は青葉の森公園に梅を見に行ってきました。

 青葉の森公園は、梅園以外にも公園内のいたるところにさまざまな種類の梅が育てられていました。

 最も遅咲きとされる「紅玉小梅(べにたまこうめ)」もほぼ満開に近い状態で、明日からまた寒くなることを考えると、今日が最もいいタイミングだったように思います。
 

2025年2月28日金曜日

【土曜日勉強会】 抄読会 --- スガマデクスによる麻酔覚醒効果

第1土曜日なので、今日の勉強会では恒例の抄読会が行われました。
自分は Zoom で参加しました。

It 先生
Outcomes of Adenotonsillectomy for Obstructive Sleep Apnea in Children Under 3 Years of Age.  Rayasam SS, et al.  Ear Nose Throat J 2024; 103: 794-800.

3才未満の小児のアデノイドと扁桃切除の転帰に関する後ろ向き研究。
大人のOSAとは異なり、小児では手術が根治につながると関上げられている。
大人とは異なり、小児では PSG の実施はたいへん。
3才未満での T&A はそもそもデータが少ない。
ほとんどが改善したが、6% ではかえって悪化。
根治は難しい。
21 トリソミー、顎顔面異常がある患者では術後の PSG を行うべきかも。

Iw 先生
The arousal effect of sugammadex reversal of neuromuscular blockade differs with anesthetic depth in propofol‑remifentanil anesthesia: a randomized controlled trial.  Sci Rep 2023; 13: 20776.

スガマデクスによる覚醒効果は、鎮静の程度に影響されるという仮説を証明することをねらいとした研究。
患者を深い麻酔群と浅い麻酔群に分け、スガマデクス投与後の臨床徴候などを比較した。
BIS の変化量は浅い麻酔群の方が有意に大きかった。
手術中に神経筋モニタリングなどのためにスガマデクスが投与されると、意図しない覚醒が起こることが懸念される。

2025年1月18日土曜日

【文献】術後の乏尿が持つ意味

 手術患者で乏尿はしばしば見られますが、それが術後のアウトカムに対してどのような意味を持つのかについては十分にはわかっていません。
 さまざまな研究者がさまざまな研究を行っていますが、必ずしも結果は一致していないように見受けられます。

 先日読んだ論文 (de Moura Pedro RA, et al. J Crit Care 2025; 85: 154976) は、中から高リスク手術を対象に術後患者を術後の乏尿の有無によって乏尿群と非乏尿群とに分け、転帰を比較したものです。
 非乏尿群にくらべて乏尿群ではクレアチニン基準による術後 AKI の頻度が有意に高かったのですが、そうは言っても乏尿群の 90% 近くでは AKI は起こってはおらず、乏尿は必ずしも腎機能障害とは関連していない、というのが結論のようです。
 術後乏尿患者がどのような経過を取るのか、現実を知るうえでとてもおもしろい研究だと感じました。

 できることならここからさらに、術後乏尿に対して輸液負荷や利尿薬投与などの介入が転帰を改善するのかが知りたいところです。
 今後の研究に注目していきたいです。

2025年1月11日土曜日

初笑い!!新春特選落語会

 三連休の初日の今日、毎年正月恒例のお笑いのイベント「初笑い!!新春特選落語会」に行ってきました。 

 多くの場合、若手も含めて漫才師やピン芸人がたくさん出てきてナイツがトリなのですが、今回はなぜか落語家(三三、小朝、喬太郎)とナイツでした。

 いつもながら、三三の流れるような落語はすごいですね。
最初から最後まで、息つく暇もなくずーっとしゃべり続けていましたが、まさに話芸といった感じでした。

2025年1月4日土曜日

【土曜日勉強会】抄読会 --- Lateral QL ブロックなど

 年が明けて最初の勤務日だったのですが、たまたま土曜日だったので抄読会から1年が始まった形になりました。

F 先生担当
George RM, et al.  Dermatomal spread in lateral quadratus lumborum blocks versus transversus abdominus plane blocks after laparoscopic colorectal surgery: a randomized clinical trial.  Reg Anesth Pain Med [Online ahead of print] (PMID: 39510803)
・腹腔鏡下大腸手術を受ける患者を対象に、lateral TAP ブロックと lateral QL ブロックとの間で範囲や効果などを比較した研究。
・Lateral QL ブロックは TAP ブロックよりもさらに後方(背中側)で行うイメージ。
・TAP 群で intermediate block(中途半端な効き) をより頻繁に認めた。
・T11-L1 の領域では QL ブロックで信頼性が高い(よく効いている)。
・Lateral QL ブロックは TAP ブロックにくらべて頭側への広がりがよかった。

M 先生担当
Bandyopadhyay A, et al.  Peri-Intubation Hypoxia After Delayed Versus Rapid Sequence Intubation in Critically Injured Patients on Arrival to Trauma Triage: A Randomized Controlled Trial.  Anesth Analg 2023; 136: 913-9.
・外傷患者における現場での delayed および rapid sequence induction を比較した研究。
・挿管時の低酸素血症の発生率は DSI 群で有意に低かった。
・初回挿管成功率は DSI 群で高かった。
・ケタミンは循環抑制を起こさないなど、外傷患者の鎮静に適しているという理由で用いられている。

日本麻酔科学会 第73回学術総会 第2日

 朝、学会場で知らない人に突然話しかけられ、昨日、私が座長を務めていたセッションがよかった、などとお褒めの言葉をいただきました。  特に座長とコメンテーターの二人体制がよかったとのことです。  こんな感じで褒められたのは初めてのことだったので、戸惑いました。  もっとも、二人体制...