2025年1月18日土曜日

【文献】術後の乏尿が持つ意味

 手術患者で乏尿はしばしば見られますが、それが術後のアウトカムに対してどのような意味を持つのかについては十分にはわかっていません。
 さまざまな研究者がさまざまな研究を行っていますが、必ずしも結果は一致していないように見受けられます。

 先日読んだ論文 (de Moura Pedro RA, et al. J Crit Care 2025; 85: 154976) は、中から高リスク手術を対象に術後患者を術後の乏尿の有無によって乏尿群と非乏尿群とに分け、転帰を比較したものです。
 非乏尿群にくらべて乏尿群ではクレアチニン基準による術後 AKI の頻度が有意に高かったのですが、そうは言っても乏尿群の 90% 近くでは AKI は起こってはおらず、乏尿は必ずしも腎機能障害とは関連していない、というのが結論のようです。
 術後乏尿患者がどのような経過を取るのか、現実を知るうえでとてもおもしろい研究だと感じました。

 できることならここからさらに、術後乏尿に対して輸液負荷や利尿薬投与などの介入が転帰を改善するのかが知りたいところです。
 今後の研究に注目していきたいです。

2025年1月11日土曜日

初笑い!!新春特選落語会

 三連休の初日の今日、毎年正月恒例のお笑いのイベント「初笑い!!新春特選落語会」に行ってきました。 

 多くの場合、若手も含めて漫才師やピン芸人がたくさん出てきてナイツがトリなのですが、今回はなぜか落語家(三三、小朝、喬太郎)とナイツでした。

 いつもながら、三三の流れるような落語はすごいですね。
最初から最後まで、息つく暇もなくずーっとしゃべり続けていましたが、まさに話芸といった感じでした。

2025年1月4日土曜日

【土曜日勉強会】抄読会 --- Lateral QL ブロックなど

 年が明けて最初の勤務日だったのですが、たまたま土曜日だったので抄読会から1年が始まった形になりました。

F 先生担当
George RM, et al.  Dermatomal spread in lateral quadratus lumborum blocks versus transversus abdominus plane blocks after laparoscopic colorectal surgery: a randomized clinical trial.  Reg Anesth Pain Med [Online ahead of print] (PMID: 39510803)
・腹腔鏡下大腸手術を受ける患者を対象に、lateral TAP ブロックと lateral QL ブロックとの間で範囲や効果などを比較した研究。
・Lateral QL ブロックは TAP ブロックよりもさらに後方(背中側)で行うイメージ。
・TAP 群で intermediate block(中途半端な効き) をより頻繁に認めた。
・T11-L1 の領域では QL ブロックで信頼性が高い(よく効いている)。
・Lateral QL ブロックは TAP ブロックにくらべて頭側への広がりがよかった。

M 先生担当
Bandyopadhyay A, et al.  Peri-Intubation Hypoxia After Delayed Versus Rapid Sequence Intubation in Critically Injured Patients on Arrival to Trauma Triage: A Randomized Controlled Trial.  Anesth Analg 2023; 136: 913-9.
・外傷患者における現場での delayed および rapid sequence induction を比較した研究。
・挿管時の低酸素血症の発生率は DSI 群で有意に低かった。
・初回挿管成功率は DSI 群で高かった。
・ケタミンは循環抑制を起こさないなど、外傷患者の鎮静に適しているという理由で用いられている。

【文献】術後の乏尿が持つ意味

 手術患者で乏尿はしばしば見られますが、それが術後のアウトカムに対してどのような意味を持つのかについては十分にはわかっていません。  さまざまな研究者がさまざまな研究を行っていますが、必ずしも結果は一致していないように見受けられます。  先日読んだ論文 (de Moura Ped...