目標指向型輸液療法 (GDFT) が片肺換気を要する胸部手術後の転帰に与える影響について調べたメタ解析 (Li X, et al. World J Surg Oncol 2023; 21: 297) を読みました。
この研究によると、対照群にくらべて GDFT 群で合併症全般の頻度および術後肺合併症の頻度が低かったのですが、興味深いことに GDFT 群でトータルの輸液量が少なかったということでした。
輸液過多が胸部手術後の肺合併症のリスクを増すことを考慮すれば、輸液総量が少なかった GDFT 群で合併症の頻度が低かったこと自体は意外ではありません。
ですが、術後 AKI 低減を目的としてGDFT を行う際には一般的に GDFT 群で輸液量が多くなりがちであることから、胸部手術においては輸液総量が少なくなるように目標を設定されている点が、自分にとってはとても興味深かったです。
この論文ひとつ取り上げても、一口で GDFT とは言ってもその中身(目標とするパラメータの設定)が多様であることは明らかであり、GDFT をやりさえすれば転帰が改善するなどとはとうてい言えないと感じました。